MENU

ジムの筋肉痛のとき、どうする。効いてる証拠とは限りません

ジムに行った翌日、体が痛い。今日も行っていいのか。

先に答えを書きます。

  • 痛い部位のトレーニングは、休ませてください
  • 痛くない部位なら、やってかまいません
  • 目安は48〜72時間。2日から3日です
  • 軽く歩く程度の運動は、続けてかまいません

これは、どのサイトを見ても同じことが書いてあります。特別な話ではありません。

ただ、ここにはひとつだけ前提があります。

その痛みが、本当に筋肉痛であることです。

国民生活センターの記録に、こういう相談が残っています。きついスクワットをさせられ、内腿が筋肉痛のようになった。整形外科に行ったら骨に異常はなかったが、治療が2カ月以上続いている。

本人は肉離れだと思っている、と書かれています。

この記事は、その境目の話をします。

目次

ジムで筋肉痛になったとき、どうするのが基本か

まず基本のほうを、もう少しだけ丁寧に書きます。

筋肉痛は、慣れない運動や強い運動をしたあと、数時間から数日たって出てくるものです。運動している最中ではなく、あとから来るのが特徴です。

痛みが出ているあいだ、その筋肉は回復の途中にあります。そこにまた同じ強さをかけると、回復が遅れます。

だから痛い部位は休ませる。これが基本です。

とはいえ、ジムに行くこと自体をやめる必要はありません。

状況 どうするか
脚が痛い 上半身のトレーニングはできる
全身が軽く痛い 歩く、自転車をこぐなど、軽いものにする
強い痛みがある その日は休む
関節が痛い 筋肉痛ではない可能性がある。この記事の後半を読んでください

部位を分けて通う人が多いのは、この事情があるからです。今日は脚、次は背中、というふうに回していけば、休ませながら通えます。

通う回数を調べた記事で書いたとおり、実際に回数を書いていた254件のうち、9割以上が週1回か週2回でした。この間隔なら、回復の時間は自然に取れます。

ここまでが、上位の記事にも書かれていることです。

上位の記事が書いていないこと

「ジム 筋肉痛」で検索して出てくる上位9件を見ました。

並んでいたのは、ジムを運営する会社が3社、製薬会社と食品メーカーとスポーツ用品メーカーがそれぞれ1社、健康や運動をあつかうメディアが3社です。

書いてあることは、ほぼ同じでした。同じ部位は避ける、48〜72時間、別部位ならOK。

どれも間違っていません。

ただ、全員がその痛みが筋肉痛であることを前提にしています。そうでなかった場合の話は、ほとんど出てきません。

ここから先が、この記事で数えた部分です。

クチコミでは、筋肉痛が効いた証拠として書かれています

実際に通っている人が、筋肉痛をどう受け止めているかを数えました。

ジム9ブランドのクチコミ12,569件のうち、筋肉痛にふれていたのは175件です(2026年8月取得)。

クチコミ175件で筋肉痛がどう書かれていたか。効いている・手応えがあるが42件、心地いい・程よい・適度が26件、つらい・ひどい・きついが14件、ならなかった・軽かったが2件

いちばん多いのは「効いている」でした。

手応えを感じる、効果を実感する、成果が出ている。そういう文脈で筋肉痛が出てきます。

心地いい、程よい、適度という書き方が26件。つらい、ひどい、きついは14件でした。

ある投稿には、最初はきつかった筋肉痛が、通ううちに決まったところに程よく来るようになって、もはや心地いい存在だ、と書かれていました。

別の投稿には、毎回しっかり筋肉痛になるので、効いていることが分かってやる気が続く、とありました。

検索する人も同じです。「ジム 筋肉痛」で調べた人が次に検索している言葉に、「筋肉痛=効いてる証拠」があります。

みんな、そう思いたい。

効く強さと、危ない強さは、別のものです

ここに専門家の説明があります。

国民生活センターの資料に、帝京大学の佐藤真治先生のコメントが載っています。運動には2つの限界がある、という話です。

  • 有効限界。これより弱いと効果が出ない
  • 安全限界。これより強いと危ない

効果が出るのは、この2本の線のあいだです。

そして線の位置は、人によって違います。高齢の方、持病のある方、運動から離れていた方は、この幅がせまくなります。

ここが大事なところです。

「効いている」と「危ない」は、地続きではありません。別々の線です。だから、痛いことは効いていることの証明になりません。

もちろん逆も言えます。痛くないから効いていない、でもありません。

けがは、初回ではなく2〜5回目に起きています

国民生活センターが2022年に出した資料の中に、パーソナルトレーニングでけがや体調不良を経験した200人への調査があります。

何回目で起きたかを聞いた結果が、これです。

けがや体調不良が何回目に起きたか。初回11.5パーセント23人、2から5回目53.5パーセント107人、6から10回目22.0パーセント44人、11回目以降13.0パーセント26人

初回は11.5%しかありません。

いちばん多いのは2〜5回目で、53.5%。半分以上がここに集まっています。

初日はこわごわやります。トレーナーも様子を見ます。だから起きにくい。

問題はその次です。体が慣れてきて、重さが上がって、痛みが出ることにも慣れた頃。

そしてもうひとつ。この200人は、運動をしていない人たちではありません。けがをする前の半年間で、週に1回以上運動していた人が89.5%を占めています。

運動不足の人が無理をした、という話ではないということです。

「過大だと思ったが、指示どおり続けた」が37%

同じ200人に、けがをしたときの状況を聞いています。いちばん多かった答えがこれです。

過大な動作や過大な負荷だと思ったが、トレーナーの指示どおり続けていた(74人、37.0%)

次に多いのが、過大だと思ったが自分の意思で続けた(49人、24.5%)。

4割近くの人が、おかしいと感じながら続けています。

資料に載っている相談のひとつに、こういうものがあります。バーベルが重くて持てないと断ったのに、トレーナーから気持ちの問題だと言われて持たされた。肩から音がして、痛みが走った。大したことはない、湿布を貼れば大丈夫と言われて帰宅した。数日後に病院へ行くと、肩の腱の損傷で、リハビリが必要と診断された。8カ月たっても、まだリハビリ中だと書かれています。

断ったのに、続けさせられています。

もうひとつ。腰痛があることを最初に伝えて、腰痛改善のプログラムを申し込んだ人が、3回目の指導で腰を痛めて立ち上がれなくなった、という相談もあります。

伝えていても、起きています。

筋肉痛だと思っていた人の記録

冒頭に書いた相談を、詳しく紹介します。

60歳代の女性です。5年前に坐骨神経痛になったことをきっかけに、ジムに通うようになりました。その後、2カ月間パーソナルトレーニングを受けています。

自分にはとてもきついスクワットをさせられ、内腿が筋肉痛のようになりました。

整形外科でレントゲンを撮ると、骨に異常はありませんでした。医師からは、持病の坐骨神経痛が出たのではないかと言われています。

治療は2カ月以上続き、改善していないと書かれています。今もヒリヒリと痛くて、歩くことも自転車に乗ることもできない。日常生活もままならず、家族の助けを借りて通院している。

その後、ジムはやめたそうです。

この方は、自分では肉離れだと思っている、と述べています。

入り口は「筋肉痛のようなもの」でした。

筋肉痛ではないものが、混ざっています

では、どこで区別すればいいのか。

正直に書きます。痛みの強さや場所だけで、素人が線を引くことはできません。この記事にも、それを判定する方法は書けません。

ただ、200人の記録から分かることがあります。

けがとして最も多かったのは筋や腱の損傷で41人。次いで打撲などが25人、脱臼や捻挫が21人でした。

そして体調のほうは、こうなっています。

症状 人数
めまい、立ちくらみ、動悸、のぼせ、貧血 76
吐き気、嘔吐 26
皮膚の症状(じんましん、発赤、肌荒れなど) 9

これらは筋肉痛ではありません。

迷う余地がない症状です。それでも76人がめまいや立ちくらみを経験しています。

そして、けがや体調不良になった200人のうち、医療機関を受診していない人が94人(47.0%)いました。

半分近くが、行っていません。

異常な痛みを感じたときや体調が悪くなったときは、トレーナーやジムに伝えたうえで、必要なら医療機関を受診してください。国民生活センターも同じことを書いています。

迷ったら受診する。それだけです。

そもそも、伝わっていないことがあります

200人には、トレーナーとのやり取りについても質問しています。

体調の確認の声かけを含めて、常に適切なやり取りができていたと答えたのは90人(45.0%)でした。

残りの110人は、うまく伝わっていないと感じたことがある、と答えています。頻繁に感じていた人が16人、まったく意思疎通ができていなかった人が7人います。

半数以上です。

けがのあとの補償についても、数字があります。

けがのあと、どうなったか 人数
十分な補償があった 23(11.5%)
補償はあったが、金額が少ないなど十分ではなかった 66(33.0%)
申告したが、補償は受けられなかった 23(11.5%)
申告していない、または受ける気がなかった 72(36.0%)

十分な補償を受けられたのは、9人に1人です。

そして3人に1人が、そもそも申告していません。

ジムの筋肉痛が出たとき、確認すること

読者が今日からできることに変えます。

確認すること なぜか
痛いのは筋肉か、関節か 関節の痛みは筋肉痛ではない
始める前に、体力を測る時間があったか けがをした200人のうち、丁寧なヒアリングと体力測定の両方を受けてプランが作られたのは32.5%だけ
2回目から5回目に、重さが急に上がっていないか けがの53.5%がこの区間に集中している
おかしいと思ったとき、言えているか 37.0%が、過大だと思いながら指示どおり続けていた
けがをしたときの扱いを、契約時に聞いたか 説明が特になかったという人が15.5%いた

3つ目について、少し補います。

パーソナルジムの標準的なプランは月8回、つまり週2回です。2回目から5回目というのは、契約して2週間から3週間のあたりに当たります。

いちばん張り切っている時期です。

そして4つ目が、いちばん難しい。お金を払って、専門家に見てもらっている。その人が言うのだから正しいのだろう、と思ってしまいます。

資料の専門家コメントには、こう書かれています。自分の体の調子や、その日の微妙な変化をいちばんよく知っているのは自分自身であり、時には自分の意思で中断する勇気を持ちましょう、と。

指導する人に、資格の義務はありません

知っておいてよいことを、もうひとつ。

同じ資料に、はっきり書かれています。パーソナルトレーニングを指導する人について、法律で決まった資格の義務はありません。

雇う会社が決めるか、個人でやっている人なら本人が決めるかです。

同じ調査では、検索上位10サイトのトレーナー紹介ページを見ています。具体的な資格の記載があったのは7サイト。そのうち、紹介されている全員が資格を持っていたのは2サイトだけでした。

資格があれば安全、という話ではありません。

ただ、食事指導について調べた記事でも書きましたが、聞かないと分からない領域があります。体験や見学のときに、どんな勉強をしてきた人なのかを聞いてください。

よくある質問

ジムで筋肉痛になったら、休ませるべきですか

痛みが出ている部位は休ませてください。ただしジムに行くこと自体をやめる必要はなく、痛くない部位のトレーニングや、軽い運動は続けてかまいません。

筋トレは、筋肉痛があったほうがいいですか

筋肉痛の有無で効果が決まるわけではありません。この記事で見たとおり、効果が出る強さと危ない強さは別の線で、その位置は人によって違います。痛みを目標にすると、線を越えても気づけません。

ジムで筋肉痛になって2日後、休むべきですか

回復の目安としてよく言われるのは48〜72時間です。2日たってまだ痛むなら、その部位はもう1日空けるか、別の部位にしてください。

筋肉がつき始めたサインは何ですか

筋肉痛は、そのサインではありません。慣れない動きをしたときにも出ます。体の変化を見るなら、扱える重さ、回数、体のサイズなど、記録できるものを追うほうが確実です。

筋肉痛が1週間たっても治りません

一般的な筋肉痛の目安を超えています。自己判断せず、医療機関を受診してください。

まとめ

ジムの筋肉痛について、分かったことを並べます。

  • 基本は、痛い部位を休ませて別の部位をやる。目安は48〜72時間
  • クチコミ175件では、筋肉痛は効いた証拠として書かれることが最も多かった
  • 効果が出る強さと、危ない強さは別の線で、その位置は人によって違う
  • けがや体調不良の53.5%は2〜5回目に起きている。初回は11.5%
  • その200人の89.5%は、もともと週1回以上運動していた人だった
  • 37.0%が、過大だと思いながらトレーナーの指示どおり続けていた
  • 筋肉痛ではない症状として、めまいや立ちくらみが76人に出ていた
  • それでも、47.0%が医療機関を受診していない

筋肉痛が出ること自体は、悪いことではありません。

気をつけるべきなのは痛みそのものではなく、おかしいと思ったときに言えない状況のほうです。

この記事の数字の出どころと、限界

  • クチコミ:Googleマップの投稿。ジム9ブランド、12,569件(2026年8月取得)。「筋肉痛」という語を含む175件を抜き出し、その語の前後30字だけを見て分類しています。投稿全体を対象にすると、筋肉痛と関係のない箇所を拾ってしまうためです。内容は要約しており、そのままの引用はしていません
  • 数え方の限界:1件の投稿に複数の要素が入るため、内訳の合計は175件と一致しません。またクチコミは満足した人が書きやすく、けがをして通うのをやめた人の声はほとんど入っていません。「つらいと書いたのは14件」を、つらい思いをした人が少ないと読まないでください。★の平均点は使っていません
  • 国の資料:国民生活センター「『パーソナル筋力トレーニング』でのけがや体調不良に注意!」(2022年4月21日公表)。何回目でけがをしたか、そのときの状況、症状の内訳、受診状況、補償、事前のヒアリングと体力測定、トレーナーの資格に関する記述は、この公表資料および資料本文によります
  • 調査の限界:この200人は、けがや体調不良を経験した人だけを集めた調査です。ジムに通う人全体のうち何割がけがをするか、という数字ではありません。なお別の調査で、パーソナルトレーニングの利用経験者1,035人のうち、けがか体調不良を経験した人は23.2%でした
  • 専門家の説明:安全限界と有効限界の考え方は、同資料に掲載された帝京大学の佐藤真治先生のコメントによります
  • 検索回数:Ahrefs(2026年8月取得)

この記事は、痛みの原因を判断したり、治療の方法を指示するものではありません。持病がある方、通院中の方、痛みが続いている方は、自己判断せず医師に相談してください。

トレーニング中に違和感があったときは、その場で止めてください。続けてから考えるのでは、遅いことがあります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次