「ジムの1年後の継続率は4%」
ジムの継続率を調べると、この数字が出てきます。100人が入会して、1年後に残るのは4人。
では、この4%はどこから来た数字でしょうか。
出どころを辿ると、行き止まりになります。
ジムラボでは、ジムの契約経験者196人に、通った期間と辞めた理由を聞きました。
結果は、1年時点の継続率が41.3%。流通している数字とは10倍の開きがありました。
流通している「ジムの継続率4%」は、出どころを辿れない
まず、いま検索すると出てくる継続率の数字を並べます。
| 数字 | 示されている出どころ |
|---|---|
| 3ヶ月後37%、1年後4%未満 | 「アメリカの研究」(どの研究かの記載なし) |
| 1年後4〜20% | 記載なし |
| 月間退会率4〜5%、年間で会員の約半数が入れ替わる | 日本フィットネス産業協会の調査 |
| 入会から半年で70%、1年で90%が退会 | 「〜だそうです」 |
| パーソナルジムの継続率70〜80% | 記載なし |
1年後の継続率が、4%から20%まで5倍の開きがあります。
唯一、団体名が出ているのが「日本フィットネス産業協会の調査」です。これを辿ってみました。
参考文献として示されていたのは、産経ニュースの2018年9月29日付の記事でした。協会が公表した統計そのものではなく、新聞記事を経由した数字です。しかも8年前のものです。
残りの数字は、出どころが書かれていないか、「アメリカの研究」「〜といわれている」で止まっています。
誰も一次情報を示していません。
ジムの継続率を、経験者196人に聞いた
そこで、実際に調べました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査名 | ジムラボ「ジム継続実態調査2026」 |
| 対象 | 過去5年以内(2021年以降)にジムを契約した経験のある人 |
| 有効回答 | 196人 |
| 実施時期 | 2026年7月 |
| 方法 | インターネットによるアンケート(クラウドソーシング経由) |
| 回答者 | 男性128人・女性68人/40代68人、30代66人、50代46人、20代15人、60代以上1人 |
設問は20問。契約したジムの種類、通った期間、現在の状況、辞めた理由、月額、体重の変化などを聞いています。
継続率は、時点を決めなければ意味を持ちません。「継続率40%」と言っても、3ヶ月時点なのか2年時点なのかで、まったく違う話になるからです。
そこで、回答者196人それぞれの「通った期間」から、入会からの経過時点ごとに、その時点を超えて通っていた人の割合を出しました。
ジムの継続率は1年で41.3%、2年で22.4%
結果です。

| 時点 | 継続率 | 該当者 |
|---|---|---|
| 1ヶ月 | 99.5% | 195人/196人 |
| 3ヶ月 | 84.7% | 166人/196人 |
| 6ヶ月 | 62.2% | 122人/196人 |
| 1年 | 41.3% | 81人/196人 |
| 2年 | 22.4% | 44人/196人 |
1年時点で41.3%。4%ではありません。
10人が入会したら、1年後に残っているのは4人。これは「100人のうち4人」ではなく、「10人のうち4人」です。
2年時点では22.4%。5人に1人が残ります。
いちばん人が抜けるのは、3ヶ月から6ヶ月にかけてです。84.7%から62.2%へ、22.5ポイント落ちます。
1ヶ月時点では99.5%が残っており、入会直後に辞める人はほとんどいません。
なぜ「4%」と「41.3%」で10倍も違うのか
同じ「ジムの継続率」で、なぜここまで違うのか。
理由は3つ考えられます。
1つ目は、時点の定義です。「4%」は、1年間ずっと通い続けた人の割合かもしれません。一方この調査は、1年を超えて在籍していた人の割合です。毎週通ったかどうかは問うていません。
2つ目は、対象の違いです。「アメリカの研究」とされる数字が本当にアメリカのものなら、日本のジムとは条件が違います。
3つ目は、調査の方法です。この調査は、回答者の記憶による自己申告です。ジムの会員データベースを集計したものではありません。
どの数字が正しいかを決めることはできません。
ただ、はっきり言えることがあります。
継続率の数字を見るときは、時点の定義と調査方法を必ず確認してください。それが書かれていない数字は、他の数字と比べられません。
ジムを辞めた理由の1位は「モチベーションが続かなかった」
次に、辞めた理由です。
辞めた・卒業した133人に、理由を最大3つまで選んでもらいました。

| 理由 | 割合 |
|---|---|
| モチベーションが続かなかった | 49.6% |
| 時間がなくなった・忙しくなった | 46.6% |
| 通うのが面倒になった | 42.1% |
| 料金が高くて続けられなかった | 17.3% |
| 目標を達成したので卒業した | 12.8% |
| 効果を感じられなかった | 12.0% |
| トレーナーや雰囲気が合わなかった | 11.3% |
上位3つは、モチベーション、時間、面倒でした。いずれも半数近くが挙げています。
一方、料金は17.3%で4位。効果は12.0%、トレーナーや雰囲気は11.3%です。
ここに、ジム経営の難しさが表れています。
事業者が下げられるのは料金です。変えられるのは設備とトレーナーです。
どれも、辞める理由の上位3つには入っていません。
入会した人が通わなくなる原因の多くは、ジムの外側にあります。
業態別の継続率(参考値)
ジムの種類によって、継続率は変わるのか。
1種類のジムだけを経験した人に絞って集計しました。ただし業態ごとのサンプル数が少ないため、参考値として見てください。
| 業態 | 回答者 | 6ヶ月 | 1年 | 2年 | 月額で最も多い層 |
|---|---|---|---|---|---|
| 24時間ジム | 70人 | 58.6% | 38.6% | 20.0% | 5,000〜10,000円(43人) |
| 低価格ジム | 45人 | 55.6% | 31.1% | 8.9% | 3,000〜5,000円(34人) |
| 総合フィットネスクラブ | 48人 | 68.8% | 50.0% | 33.3% | 5,000〜10,000円(29人) |
数字の差より、月額の欄を見てください。
低価格ジムは45人中34人が3,000〜5,000円。総合フィットネスクラブは、12人が10,000〜20,000円を払っています。
月3,000円のジムと、月2万円のジムを、同じ「ジムの継続率」で語ることはできません。
収益の構造が違うからです。月額制のジムでは、退会せずに来なくなった会員は、設備の負担を増やさずに会費を払い続けます。一方、通い放題でスタッフの対応がある業態では、来店するほどコストがかかります。
「継続率を上げる」が事業者にとって何を意味するかは、業態によって変わります。
流通している継続率の数字がばらついている理由の一つは、業態を分けずに集計していることにあると考えられます。
なお、パーソナルジムを1種類だけ経験した回答者は2人でした。一般の消費者調査では、母数が取れるほどの人数がいません。「パーソナルジムの継続率は70〜80%」という数字がどこから来たのかは、確認できませんでした。
業態ごとの店舗数や分布は、ジムの市場規模と店舗数にまとめています。
ジムを選ぶときに重視したのは「立地・通いやすさ」
最後に、もう1つ。
ジムを選ぶときに最も重視した点を、1つだけ選んでもらいました。
| 重視した点 | 人数 |
|---|---|
| 立地・通いやすさ | 101人(51.5%) |
| 料金の安さ | 38人(19.4%) |
| 施設・設備の充実度 | 18人(9.2%) |
| 営業時間(24時間営業など) | 15人(7.7%) |
| クチコミ・評判 | 9人(4.6%) |
| トレーナーの質 | 2人(1.0%) |
半数以上が、立地で選んでいます。
そして辞めた理由の3位は「通うのが面倒になった」(42.1%)でした。
選ぶときも辞めるときも、通いやすさが判断を分けています。
この調査の数字を引用するとき
この記事の数字は、出典を書いていただければ自由に使えます。
出典:ジムラボ「ジム継続実態調査2026」(https://gymlab.jp/research/gym-retention-rate/)
数字の一部だけを抜き出して使っていただいてもかまいません。その場合も、上の出典とリンクをつけてください。
調査の方法と限界
継続率の定義です。回答者それぞれの「最も長く通ったジムに合計でどのくらいの期間通ったか」の回答から、入会からの経過時点ごとに、その時点を超えて在籍していた人の割合を算出しました。現在も継続中の人は、現時点までの在籍期間で数えています。毎週通ったかどうかは問うていません。
自己申告による回答です。ジムの会員データベースを集計したものではありません。記憶による回答のため、期間には誤差が含まれます。
サンプル数は196人です。業態別に分けると1業態あたり45〜70人となり、業態間の差は誤差の範囲に収まる可能性があります。参考値としてお読みください。
回答者の偏りです。クラウドソーシング経由のため、在宅で作業をする人の割合が一般より高い可能性があります。年代は30〜50代が9割を占めています。
「最も長く通ったジム」を聞いています。複数のジムを経験した人は、その中で最も長く続いたものを答えています。そのため、実際の平均継続期間より長めに出ている可能性があります。
比較対象とした数字の出典です。「月間退会率4〜5%」は、株式会社アースカラーの記事が参考文献として産経ニュース(2018年9月29日付)を挙げています。その他の数字については、各記事に出典の記載がありませんでした(2026年9月12日確認)。
