ジムに通うのに、補助金が出ると聞いた。10万円もらえるらしい。
そう思って調べている人がいるかもしれません。
最初に、いちばん大事なことを書きます。
その10万円は、もらえる金額ではありません。
逆に、引かれる金額です。
「10万円」の正体

この10万円は、「医療費控除」という仕組みに出てくる数字です。
医療費控除というのは、1年間に払った医療費が多かった人が、払った税金を少しだけ返してもらえる仕組みのことです。確定申告をすると受けられます。
で、その計算がこうなっています。
1年分の医療費 - 保険で戻ってきた分 - 10万円
この残りが、税金を返してもらう計算に使われます。
つまり、10万円を超えた分しか見てもらえません。
1年間の医療費が8万円なら、10万円に届いていないので、戻ってくるお金はゼロです。
もらえる金額ではなく、ここまでは自分で払ってください、というラインなんです。
※1年の収入が少ない人(もうけが200万円未満)は、10万円ではなく、そのもうけの5%になります。
ここを勘違いしたまま調べると、時間を無駄にします。
お金が戻る仕組みは、3つあります
ジム代について、お金が戻る可能性がある仕組みは3つです。

先に答えを書きます。
いちばん使える見込みがあるのは、真ん中の「会社の健康保険組合」です。
国の医療費控除は、ほとんどの人が使えません。なぜかを説明します。
医療費控除は、普通のジムでは使えません
「ジム代で税金が戻る」という話を聞いたことがあるかもしれません。
本当です。ただし、条件がかなり厳しい。
条件は6つあります
国税庁が出している文書によると、こうなっています。
- そのジムが国から認められた施設であること
- さらに、病院と組んで運動療法ができる施設として指定されていること
- 医師に「運動しなさい」と指示されて通うこと
- その医師が運動にくわしい、資格を持ったお医者さんであること
- 8週間以上続けること
- ジムに証明書を出してもらうこと
読んで、どう思いましたか。
普通のパーソナルジムも、24時間ジムも、chocoZAPも、使えません。
そもそもこの仕組みは、病気の治療のために医師が運動をすすめる場合のものです。健康のために自分で通うジムとは、話が違います。
対象のジムは、全国に303か所しかありません
数字を見てください。
国が認めているジムのような施設は、全国で404か所。
そのうち、税金が戻る対象になる施設は303か所です(日本健康スポーツ連盟の一覧、2026年8月21日時点)。
全国で303か所です。
日本のジムは、数千店舗あります。そのうち303。
しかも中身を見ると、病院にくっついている施設や、市や町がやっている施設がほとんどです。
一覧を開くと、名前がほとんど同じ形をしています。メディカルフィットネス、健康増進センター、市民プール、スポーツセンター。
駅前によくあるジムは、まず入っていません。
秋田県と高知県には、1か所もありません。四国は4県あわせて6か所です。
住んでいる場所によっては、そもそも選択肢が存在しません。
健康診断でメタボと言われても、使えません
ここは勘違いしやすいところです。
健康診断でメタボと言われて、そのあと指導を受けることになった。それなら医師の指示だから、ジム代も戻るのでは。
そう思いますよね。
運動施設の利用料は、医療費控除の対象となる特定保健指導そのものの対価ではありませんし、医師の診療等を受けるために直接必要な費用にも該当しませんから、医療費控除の対象となる医療費には該当しません。
かたい言い方なので、そのまま訳します。
健康診断のあとに指導を受けていても、ジム代は戻りません。
「対象になりません」と、はっきり書かれています。
使うには、医師の指示が要ります
ダイエットしたいから通いたい、という理由では、医師は運動を指示してくれません。
糖尿病や高血圧などの治療として運動が必要だと、医師が判断したときに、はじめて使える仕組みです。
健康のためにジムに通いたい人の話ではありません。
現実的なのは、会社の健康保険組合です
ここからが本題です。
会社に勤めている人なら、健康保険組合がジム代を補助してくれることがあります。
健康保険組合というのは、保険証に名前が書いてある団体のことです。大きな会社が、自分のところで持っています。
実際の例を見てみます。
実際にある補助の例
ある製造業グループの健康保険組合は、スポーツクラブの利用料を補助する制度を持っています。
条件を見ると、細かい決まりがあります。
- 領収書が必要。領収書が出ないジムはダメ
- 回数券や、前払いのチャージはダメ。まだ使っていないから
- ヨガやエアロビクスなどのレッスン代はダメ。ジムの利用料だけ
別の健康保険組合では、6か月以上続けて通っていることが条件でした。休んだ月は、その期間に数えてもらえません。
また別のところは、組合が決めたスポーツクラブを使った場合だけが対象です。
組合によって、条件がまったく違います。
「エニタイムは対象?」という調べ方は、できません
「ジムに通う 補助金 エニタイム」のように、ジムの名前で調べている人がいます。
でも、この調べ方では答えが出ません。
対象になるかどうかを決めるのは、ジム側ではなく、あなたの会社の健康保険組合だからです。
同じチェーンでも、A社では対象、B社では対象外、ということが普通に起こります。
だから、ジムの名前ではなく、自分の会社の制度を調べてください。
調べ方は、3ステップです
- 保険証を見る。「○○健康保険組合」と書いてあります
- その名前で検索して、公式サイトを開く
- サイトの中で「スポーツ」「フィットネス」「健康づくり」を探す
これで見つからなければ、あなたの会社には制度がありません。
ひとつ注意です。保険証に「全国健康保険協会」と書いてある人は、この種の補助はありません。中小企業の多くがここに入っています。
自分のところで健康保険組合を持っているのは、比較的大きな会社です。
会社の福利厚生も見てください
健康保険組合とは別に、会社が独自にジム代を出してくれることもあります。
こちらは、総務や人事に聞くのが早いです。
市区町村の補助は、対象が限られます
3つ目は、住んでいる市区町村の制度です。
ただし、誰でも使えるものは少ないです。
多いのは、高齢者向けのものです。市の体育館やプールが安く使えたり、体操の教室に参加できたり。
働いている世代が使えるものは、あまりありません。
調べるなら、市区町村のサイトで「健康」「スポーツ」を探してください。あればラッキー、くらいの気持ちで。
補助と税金の戻り、両方は受け取れません
ひとつ、注意点があります。
会社から補助をもらった分は、税金が戻る計算から外れます。
たとえば月1万円のジムで、会社から3,000円出たとします。自分で払ったのは7,000円。
このとき計算に使えるのは、7,000円のほうだけです。
とはいえ、そもそも税金が戻る条件を満たすジムはほとんどないので、この計算をする人は少ないはずです。
なお、補助を計算するときは、何か月通うつもりかを先に決めてください。月々の補助額は同じでも、通う期間で総額が変わります。実際に通った期間を数えた記事もあわせてどうぞ。
結局、何をすればいいか
やることは3つだけです。
| やること | かかる時間 | |
|---|---|---|
| 1 | 保険証を見て、健康保険組合の名前を確認する | 1分 |
| 2 | その名前で検索して、「スポーツ」の項目を探す | 5分 |
| 3 | 会社の総務に、ジムの補助があるか聞く | — |
これで見つからなければ、補助はありません。
税金の話を調べるのは、医師から運動をすすめられた人だけで十分です。
それでも、費用を抑えたいなら
補助が使えなかった場合の話も、書いておきます。
ジムの料金は、月3,000円台から20万円まで幅があります。そして間が全部埋まっています。
この幅についてはパーソナルジムと普通のジムの違いを整理した記事で書きました。「安いジム」と「高いパーソナル」の2つで考えると、真ん中が見えなくなります。
そして、もうひとつ。
安く通えても、行かなければ意味がありません。
続かない理由を調べた記事で分かったのは、続いている人が挙げる理由が「安いから」ではなかったことです。直前まで予約とキャンセルができること、手ぶらで行けること。そっちでした。
月3,000円のジムに行かなくなるより、月8,000円のジムに通い続けるほうが、結局は安くつきます。
まとめ
- 「10万円」はもらえる金額ではなく、引かれる金額
- 税金が戻る仕組みは条件が6つあって、普通のジムは対象外
- 対象のジムは全国に222か所しかない。ほとんどが病院や市の施設
- 健康診断でメタボと言われても、ジム代は戻らない(国税庁がはっきり否定している)
- 現実的に使えるのは、会社の健康保険組合の補助
- 調べ方は、保険証を見て、その名前で検索するだけ
この記事の調べ方
- 税金が戻る条件:国税庁の文書「指定運動療法施設の利用料金に係る医療費控除の取扱いについて」と「特定保健指導に基づく運動施設の利用料」。読みやすさのため、言葉を言い換えています
- 対象施設の数:公益財団法人 日本健康スポーツ連盟、健康長寿ネットの公表資料
- 健康保険組合の補助:いくつかの健康保険組合が公開している制度のページ(2026年8月時点)
- 検索回数:Ahrefs(2026年8月取得)
制度の中身は変わります。申し込む前に、必ず最新の情報を見てください。
この記事は、税金の手続きについて助言するものではありません。実際の申告は、税務署か税理士に相談してください。
